本研究では、判断と意思決定の状況依存性を実証的に解明し、状況依存性を理論的観点から説明し、予測可能な心理計量モデルの作成とその妥当性研究を行なうことを主目的とした。より具体的に述べると、まず、第1の研究目的は、判断と意思決定の状況依存性が生じるのは、どのような状況なのかを明らかにすることである。すなわち、状況要因の探索と分析を行うことであった。第2の研究目的は、状況依存的な判断と意思決定において、どのような心理的プロセスが生じるのかを明らかにすることであった。そして、第3の研究目的は、これらの知見をもとに、判断と意思決定の状況依存性を説明する心理計量モデルを作成することであった。最後に、第4の研究目的は、この心理計量モデルをもとにした妥当性研究を行い、このモデルの現実の社会状況の意思決定における妥当性を検討することであった。 本年度は、以下の研究を行った。 研究1 判断と意思決定における状況要因の文献収集 研究2 判断と意思決定に関する状況の自由記述による収集 研究3 多次元尺度法による状況要因の分類学的研究 研究4 判断と意思決定に及ぼす感情の効果の実験研究 研究5 判断と意思決定及ぼす騒音効果の実験研究 研究6 判断と意思決定に及ぼす認知的干渉の効果の実験研究 研究7 状況依存性を説明する解釈モデルの作成
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