研究概要 |
平成9年度の研究としては、「教員」という職業と他の職業とのストレスレベルの比較検討を行うことと、学校ストレスに対する対処方略を抽出することを目的としていた。 まず、初任者についての調査は,I県で8月に行われている小・中学校の初任者研修会に参加している教員を対象に実施し、134名の回答を得た。その中で教職経験が2年以上のものは分析から除外した。対照群として、勝倉・田中・杉江・山本・山際(1996)のデータの内、教職経験2年以上の教員のデータ(314名)を用いた。 結果は、ストレス尺度では、「教員との関係」や「評価懸念」、「部活動」の因子では、初任者と教職歴2年以上の教員との間に有意な差は認められなかった。一方、「煩雑感」や「多忙」、「児童・生徒との関係」、「保護者からの評価」の因子で初任者の方が有意に多くのストレスを経験している。逆に、「校務分掌」と「問題行動」の因子ではストレスの経験が有意に少ない。バーンアウト尺度では、「達成感」には有意な差は認められなかったが、「消耗感」では初任教員の方が有意に高った。サポート尺度については、「情緒的なサポート」では有意な差は認められなかったが、「情緒的サポート」の方は初任者は有意に多く受けていることが示された。これらの結果は、新任特有の事情を物語っていると思われる。本結果をふまえて、小・中学校の新任教員のストレスと対処行動の変化を追いながら、対処行動の獲得によるストレスの軽減効果について来年度の調査で検討する予定である。 次に、教員と他の職業とのストレスレベルの比較研究では、現在教員130名分のデータが収集できたところである。近日中にデータが増える予定であるので、そのデータと合わせて分析を行いたい。
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