本研究では、2つの実験によって、攻撃型テレビゲームでの遊びがその後の攻撃行動に影響するか、などの問題を検討した。 実験1では、女子大学生52名を5つの条件の1つに割り当てた。それらの条件は、被験者が現実的なゲーム(ヴァーチュアコップ)で遊ぶ条件、非現実的なゲーム(スペースインベーダ)で遊ぶ条件、現実的なゲームの進行をただ見る条件、非現実的なゲームの進行を見る条件、中性的な映像を見る対照条件であった。被験者には、ゲームや映像に接触した後で、サクラに対して電気ショックを与える機会が与えられ、そこで被験者がどれだけの電気ショックを与えたかが攻撃行動の測度となった。また、被験者の血圧や心拍を、ゲームや映像に接触する前後で測定した。 実験2では、実験1の手続きを変更し、その知見の妥当化と拡張を行った。実験2では、現実的なゲームとして、エリア51をパァーチャガンとともに使用し、格闘ゲーム(鉄拳2)で遊ぶ条件を加え、更に、攻撃行動の指標としてサクラに対して雑音を聞かせる行動を測定した。ゲームの進行を見る条件は設置しなかった。被験者は、41名の女子大学生であった。 これらの実験の結果、次のことが明らかになった。 (a) テレビゲーム遊びは攻撃行動を促しうること。ただし、 (b) テレビゲーム遊びの影響は、ゲームの種類によって大きく異なっていること(例えば、バーチュアガンを用いたエリア51では影響が検出されたが、バーチャルコップでは検出されず、スペースインベーダーについては、2つの実験で結果は一貫しなかった)。 (c) テレビゲーム遊びが攻撃行動を促す影響は、その相互作用性のために生じている可能性があること。 (d) テレビゲーム遊びの影響は、それが運動による生理的喚起を引き起こすからではないこと。
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