研究概要 |
本年度は第一次調査として,中学・高校・大学生(726名)に対して,「青年性」「充実感」「自己意識特性」「現代青年の友人関係」「現実自己像」「理想自己像」「友人像」に関する質問紙調査を行った。 青年性に関しては,これまで,この概念を測定する尺度は見られなかったため新たに作成したものであり,因子分析の結果,激情性,自己矛盾性,易変性と命名しうる3因子を得た。青年性概念は本来,青年期前期の特質として考えられてきたが,むしろ青年期後期の者ほど得点が高い傾向がみられた。現代青年の友人関係については,従来の研究では「気遣い」「関係回避」「群れ」と命名しうる3因子が得られてきたが,本研究では,「気遣い」と「関係回避」は因子として分かれず,友人関係の弁別性が変化してきているものと考えられる。 友人関係の取り方によって、各年代ごとに回答者を分類し,自己像,友人像との関連を調べたが,関係性は強くみられなかった。これまでの研究では,中学生世代において友人像が自己像に取り入れられ,大学生世代では,現実自己と理想自己の関係に置き換わると考えられてきたが,本研究では,中学・高校では,友人像が自己像に対してほとんど関係を持たす,逆に大学生において関連性が見られた。これは,青年期の発達過程が各世代によって大きくことなること,とくに,年少の世代においては,友人が自己に殆ど影響を及ぼさなくなりつつあることを示すものと考えられる。 現在第一次調査段階の解析をより進めるとともに,第二次調査として,より病理的側面や攻撃性などとの関連を,来年度の課題として計画している。
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