調査は、京都府下の病院に勤務する看護婦を対象に実施した。 本研究では、ストレスと自己効力感によるバーンアウトの因果モデルを提議し、その妥当性を検証した。共分散構造分析による検証の結果、本研究で提議した因果モデルの適合度は高く、その妥当性が支持された。すなわち、ストレスの結果生じるのは、バーンアウトの3側面のうち情緒的消耗感と脱人格化の2側面であり、個人的達成感の後退は、ストレスの結果生じるのではなく、自己効力感の喪失と密接に関わっていることが確かめられた。この結果は、バーンアウトには、少なくとも経路の違う2つの側面があることを示している。1つは従来から言われてきた過剰なストレスが原因となって生じる側面であり、他の1つは、自己効力感の喪失にともなって生じる側面である。 さらに、バーンアウトの2つの側面の重要性を、離職意識への関わりという観点から評価した。その結果、両者はほぼ同等に離職意識と関わっていることが示された。つまり、自己効力感に帰因する側面も、バーンアウトの結果として離職をまねくという観点では、ストレスに帰因する側面と同等の重要性を持っていることが示されたことになる。したがって、あらたに自己効力感に関わる経路を仮定することは、バーンアウトの因果モデルを構成する上で重要な意味を持つものと考えられる。
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