机の上で学ぶ活字、映像による学習と体験による学習がどのように異なるかを検討するため、実験、質問紙の変数を見つけることを本年度の目標とした。そこで50人の披験者に、体験型科学センターである「倉敷科学センター」を訪問してもらい、活字で学ぶ知識と体験型学習の違いをレポート形式でまとめてもらった結果を整理した。活字で学ぶ知識と体験型の知識の主な違いは、次のようなものである。つまり、体験的な学習は、「楽しい」ということが大きく違う。また、他者の視点で見せられている映像や、他者の視点で描かれている説明文とは異なり、自分の視点で、自分のレベルでものが見られるところが違う。加えて、直接対象に働きかけることで「なぜだろう?」という疑問がわき起こったり、「故障したら修理がたいへんだ」「昔の人はたいへんだったんだ」など、他者を思いやる気持ちが生じるが、これらは活字や映像では生じにくいものである。さらに、体験には失敗はつきもので、失敗したときには「どういてだろう」と考える。活字、映像による情報提供には失敗がないので、この種の反省は生まれないといえる。加えて、活字による学習では、満足する経験は少ないが、体験による学習では、その過程において、たとえ結果は満足できなくても、大きな満足感を得ることができる。このように、体験による学習では、学習への満足感、好奇心、内発的動機付けが喚起されやすいと予測できる。来年度は実験で、さらに検討する予定である。
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