研究概要 |
90年代に入って以降,米国を中心に共分散構造モデルの理論は高度に発展し,ソフトウエアの操作性の向上とともに膨大な量の応用的な研究が発表されている.理論的発展としては,たとえば母数の推定に際して分布によらない推定法が進歩し,また解の評価基準が多数提案されている.応用的発展としては,たとえば時系列解析や行動遺伝学的モデルが下位モデルとして記述されはじめている.このような理論の進歩による知識の増加は,手法を道具として利用する側の学習の負担を招き,特に我が国において,応用的研究の発展を疎外する要因となりつつある. そこで本研究では,文学部・教育学部・社会学部などの文科系の学部学生が,共分散構造モデルを分析の道具として自由自在に利用する技能を半年から1年で修得させる教授法・教授学習システムを研究・開発している.9年度は共分散構造モデルの入門段階の学習プログラムの開発を行った.学習プログラムの特徴は,学習者自身の学習用のデータを作成し,自らの知識の発達に合わせて分析を進めることによって,学習内容のより深い理解を可能にしたことである.9年度の研究成果は出版を通じて広く社会に還元すべく,現在,準備を進めている.10年度は,時系列解析・行動遺伝学的モデル等の応用事例の収集,分析を行い,応用モデルの観点から初心者向けの教材の雛形を作成する.
|