本研究は、心身障害児をきょうだいに持つ健常児に関して次の点を明らかにすることを目的とする。(1)発達過程の中での同胞の障害の受け止め方・位置づけ、(2)同胞が障害を持つことでのストレス、(3)親子関係の特徴及び(1)、(2)との関係、(4)同胞の障害属性(種類・程度)と(1)〜(3)の関係。 今年度は、質問紙作成のための予備調査として、心身障害児・者の母親・きょうだい各々20名(兄姉11名、弟妹9名)に面接調査、親子関係診断テストを実施した。母親面接では、障害児の生育歴に沿って、その時々のきょうだいの様子、きょうだい関係、きょうだいへの配慮、家族の協力度、障害児の将来への思いなどを尋ねた。きょうだい面接では、同胞との思い出など話しやすい内容から入り、いつ障害に気づき、現在どのように理解しているか、同胞が障害を持つことでのプラス面・マイナス面について尋ねた。肢体不自由児のきょうだいでは、車椅子に乗っている同胞を見て『何か乗ってる』、精神発達遅滞児のきょうだいでは、同胞の行動が友達のきょうだいとは違うと気づき始めたのが4〜5歳で、小学校高学年から必要な時には友達に説明できるようになり、中学〜高校生で自分の中で位置づけれるようになったとする回答が多かった。協力を得られたきょうだいは、時に友達から心ないことを言われたりしながらも、親よりも同胞の障害をスムーズに受け止めていた。自分自身の将来について考える時期に同胞の将来について不安を抱いたり、強い責任感を感じてもいた。きょうだいの協力が得れず母親面接のみのケースの中には、ストレスによる身体症状を持ち、かなり深刻なケースもあった。現在、面接テープの掘り起こし作業が終了し、母親用質問紙(同胞の障害属性・親子関係・きょうだいのストレス等を含む)、きょうだい用質問紙(障害の受け止め方・親子関係等を含む)ともにほぼ仕上がっている状況である。
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