地域で自立的生活を送る知的障害者の生活実態と健康状況を把握するために、北海道、神奈川、九州におけるグループホーム利用者ならびにバックアップ施設を対象にアンケート調査ならびに聞き取り調査を実施した。その結果、多くはバックアップ施設等によって行われているプログラムや地域の行事に参加していた。しかしながら日常的に全身を使った身体活動・スポーツを行っているものは少なく、とりわけ休日には身体活動量が少ないことが伺われた。身体的な痛みの訴えと運動の関係を見たところ、腰痛を感じているものと運動を行っているものに関係が見られた。これは身体の痛みが運動の必要性の自覚を促しているものと考えられた。体脂肪率計を用いた調査では、女性において重度の肥満傾向を示す群がみられ、生活習慣病対策として身体活動プログラムへの参加を促すなど早急な対応が必要であることが明らかとなった。また季節変化では、夏季に比べ冬季では体脂肪率が増加する傾向にあることが示され、冬季間の身体活動プログラムの重要性が示された。重度肥満者に対し心拍数計ならびにアクティブトレーサーにより身体活動量を調査したところ、職場への通勤時などに心拍数の上昇などがみられるものの、その他の時間帯では極端に活動量が少ないことが示された。 さらに実際に余暇活動に参加している障害者の意識や余暇活動への参加条件を明らかにすることを目的に、各種スポーツ大会参加者に対し、アンケートならびに聞き取り調査を行った結果、大会への参加をきっかけに、「日常的に練習を行うようになった」「生活に張りが出た」などの感想を持つものが多くみられた。反対に、指導者や練習会場への交通アクセス、環境・施設など障害者が参加しやすい条件を整えることが、重要であることが示された。
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