1.農村女性および農業生産組織にかんする文献のサーベイをおこなった。 2.宮城県角田市、山形県酒田市および山形県遊佐町を対象地とし、当該地域の営農の現状について統計分析をおこなった。その結果、一方での兼業化・高齢化の進展という傾向と、他方での根強い営農の存続とが確認された。 3.当該地域における女性の農業への関与について関係機関より聞き取りをおこなった。 4.以上を踏まえて、個別農家女性にかんする、生活史・就農歴を中心とするインフォーマント調査をおこなった。その結果、(1)対象地におけるさまざまな地域営農への取り組みを支えてきた女性たちが、主として、高度経済成長期までに就労年齢に達した女性たちであり、そういった女性たちの形成した地域営農の枠組みは、現在、深刻な後継者難に直面していること、(2)とはいえ、それ以降の世代の女性のなかにも、新たな地域営農への取り組みの試みが別途みうけられること、そしてそのばあいには、全般的は兼業化のなかで点的存在となりがちな就農女性のネットワーキングが大きな課題となっていることが、確認された。 5.以上の結果をふまえて、次年度は、女性の地域営農へのより積極的な参与を可能とする地域的条件(農外労働市場の性質、米以外のプラスα部門への取り組みの性格など)および家族的条件(家族構成、家族内役割分業の性格など)について、対象地を広げつつ、諸テ-ゼの経験的一般化の可能性をさぐることとしたい。
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