研究概要 |
本年度は、若者のライフコース・職歴選択と社会意識形成の動的な過程を把握するために、どのような方法が可能であるか検討を行なった。具体的には、この分野においてデータや専門的知識をもっている研究者に、研究計画のレビューを受け、調査方法を確定した。 調査対象としては、1,300サンプルの若者を確保し、1992年(対象者が高校生の時点)に同一サンプルに対して実施した質問紙調査のデータの再分析と整理を行なった。このサンプルは、進学・初職就職の後、いくつかの職歴を経て、結婚適齢期を迎えつつある。この間に、彼らは地域間異動、進学、就職、転職などの様々なライフイベントを経験してきたであろう。そこで1998年時点で高校生の時点と、社会的態度やライフコース観がどのように変容したか、あるいは変容しないままで維持されているのかを調査していくことにしたい。 しかし現在の詳細な情報を獲得するためには、量的な社会調査の方法ではなく、質的な調査がより有効であるということが、先行研究を調べることによって判明した。また、前回調査から6年を経て、サンプルは全国各地に散らばっているため追跡コストも思った以上にかかる。 そこで追跡するサンプルを方法をごく少数に絞り、直接面接による聞き取り(ビデオ撮影)という方法をとることにした。従ってサンプルは現在25歳の男女約50名であり、調査内容は過去6年間のライフコースと社会意識形成についてである。そして、来年度面接調査を実施することができるように、6年前に作成された名簿をもとに、関係機関に現住所連絡先の確認を行なって、消息の調査の過程にある。
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