本研究の目的は、社会学的視点から、西日本(中国地方)の過疎農山村集落における高齢家族(高齢独居あるいは高齢夫婦のみなど)の生活構造の実態を把握し、さらに、こうした地域社会における社会福祉意識構造を明らかにしたうえで、公的な社会福祉サービスシステムと私的領域におけるサポートネットワークの連携に基づいた社会福祉サービス供給システムを展望していくことにあった。 そのために、本年度は、先行研究のサーベイと調査票作成を行い、次年度に予定している実査に向けて基礎的な準備を行なった。 具体的には、(1)過疎農山村を対象とする家族社会学、農村社会学、社会福祉学、地域福祉学などの領域における関連諸領域の先行研究サーベイを行い、並行して西日本地域(山口県内)の過疎地域を対象とし、統計資料などをもとに(2)調査地点の絞り込み作業を実施した。その際、現在継続中である大分県の過疎農山村における調査研究との比較検討が可能となるよう試みたが、これらを通して、あらためて過疎農山村社会の住民の生活構造の空間的、意識的拡大状況が明らかになった。 こうした作業をふまえて、世帯構造と社会福祉意識との関連を明らかにすることを主眼とした(3)調査票の作成を行ない、予備調査の準備作業に着手したところである。 以上が、本年度の研究実績である。
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