本年度は大阪市養護施設協議会の協力のもと、大阪市管轄の養護施設、教護院、情緒障害児短期治療施設の全直接処遇職員を対象に行う、価値観に関する調査票の作成及びそのパイロット調査を行った。 施設職員は子どもをケアする中で、個々の価値観に基づいて判断し、それに基づいて行動したり、発言したりすることが求められる。日常何気なく行っているその判断は、子どもやその家族のさまざまな面に強く影響を及ぼすと考えられる。近年一般的に価値観が多様化し、施設や機関の専門家によっても子ども観、子育て観、家族観などが異なる中で、どういった価値観をもって子どもや、その親にかかわっていくかについて、十分に問われる必要がある。 こうした認識に基づき各職員の価値傾向を明らかにするために、現場業務と関連性のあるあらゆる意識や考え方の背景にある価値観を同協議会の現場職員とともに指標化した。ここでは価値観を非常に限定した枠組みで捉え、具体的には(1)男女観(ジェンダー意識。近年ジェンダーの観点から、我々の生活の問い直しがなされジェンダーレス、あるいはジェンダーフリーといったことが主張されている。ジェンダーフリーな家庭モデルの構築が福祉施設においても要請されている。)(2)子どもの権利観(保護重視かオートノミーの尊重か、子どもの権利や子どもの権利条約の捉え方など)(3)子育てに関する考え方)(4)施設観(施設の捉え方)(5)援助観(施設はどういった考え方をもって子どもや家族にいかにかかわっていくべきか)といったものが挙げられた。この枠組みに基づき、調査票の作成を行った。またその作成された調査票のパイロット調査を同協議会に所属している一施設において行った。
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