要介護高齢者の家族介護者の対処行動が精神的健康に及ぼす影響を検討するために、平成8年4〜5月に三鷹市で実施した「高齢者の生活と福祉実態調査」に回答した65歳以上の要介護高齢者の介護者に対して、追跡調査を実施した。介護ストレスに対する対処行動は、「介護に対するペース配分」(「できる範囲で無理をしないようにお世話をする」等の3項目)、「介護役割の積極的受容」(「意志の疎通を図りお年寄りの気持ちを尊重する」等の4項目)、「気分転換」(「友人と会ったり自分の好きなことをしたりして気分転換をする」等の2項目)、「私的支援追求」(「お世話をしている人同士で励まし合う」等の3項目)、「公的支援追求」(「役所や医師・看護婦などの専門家に相談する」等の4項目)の5因子(全16項目)によって測定し、介護者の精神的健康は、燃えつきの程度を測定する尺度である家族介護MBIによって測定した。本年度は、熟練した調査員によって平成9年4〜5月に訪問面接調査を実施し、回収された調査票からのデータ入力を終了した。現在、データクリーニングを進行中である。調査概要に関して述べると、追跡調査の対象者は初回調査に回答した介護者943人であった。その内、有効回答者(回収率)は835人(88.5%)で、高齢者の在宅介護を同一の介護者が継続しているもの620人、高齢者が入所あるいは死亡して現在は介護に携わっていないもの212人、高齢者は在宅で介護されているが介護者が変更されたもの3人である。未回答者は108人で、その理由は、介護者の拒否(49人)、不在(14人)、健康上の理由(14人)、死亡(7人)、転居(12人)、その他(12人)であった。
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