本研究の目的は、学術政策と科学技術政策の関係が日米でどのように相違しているかを明らかにすることである。そのために研究計画では、今年度は、主に米国の学術政策・科学技術政策関連の資料の収集と整理、これまでの研究で収集整理した日本の学術政策・科学技術政策関連の文献資料を改めて整理し補足する予定であった。 前者の米国についての資料は、学術図書、政府刊行物、調査報告書類の収集に努め、また、インターネットからの資料の入手を行い、分類・整理を行った。 後者については、これまでの研究成果をふまえて、日本の戦後の学術研究投資の構造的な変化とその背景について、学術研究の社会的位置づけの変化という観点から分析を行った。その結果、学術政策と科学技術政策が密接に関わりを持つ時期とそうでない時期(学術政策が独自に展開する時期)があり、それがかなり政治経済状況に左右されること、また、科学技術政策が学術政策に及ぼす影響にいくつかのパターンがあることが明らかとなった。 来年度は今年度の日本に関する分析をもとに日米比較を行いたいと考えている。しかし、現在まで収集した資料を見る限りでも、日本と米国の間で、学術政策も藻科学技術政策も、大きく制度的枠組みが異なることがわかる。それゆえ単純な比較は難しいが、研究政策は、いずれの国においても、社会の要求と研究活動からの要求を媒介・調整するものであるという観点から、来年度は、まず比較のための概念的な枠組み作りを大きな目標とするつもりである。それを構築することができれば、それぞれ国の制度の違いや共通性をより一層明確にした上での比較が可能となるだろう。
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