本研究は現代日本の教育システムの等質を、1)選抜制度の国際比較、2)選抜制度の歴史・実態を把握する資料の検討、3)アンケート調査による選抜制度の計量分析、によって明らかにするものである。本年度は、1)については文献収集による整理・検討を予定していたが、アメリカ・韓国の大学入学者選抜関係の文献を収集・整理はほぼ予定通り行い、今後さらに資料を集めて検討に入る予定である。2)については、大学入試案内のデータベース作成作業を行なった。これに基づく研究成果を日本教育社会学会大会および東京大学大学院教育学研究科紀要にて発表した。ただし、歴史的資料の収集については来年度に実施する予定である。3)については、「大学入学者の意識と行動に関する調査」を実施し、データを集計したうえで、これに基づく研究成果を日本教育社会学会大会および東京大学大学院教育学研究科紀要にて発表した。なお、この調査の結果を元に、より大規模なアンケート調査を12月に実施し、現在データの整理・集計作業を進めている。 本年度は以上の研究により、日本の大学入学者選抜が諸外国とは異なる特徴を持っていること、また日本の中で「多様化」といわれながら実態としてエリートの選抜と大衆の選抜へと二極化しつつあることが明らかとなった。来年度はこの成果を踏まえ、さらなる資料収集・データ分析を行う予定である。
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