本研究は戦後日本において普及した新しい選抜制度を実証的に検討し、日本の教育システムの現代的状況を適正に位置づけることを目指すものである。まず第一に、本研究では日本・アメリカ・韓国の入学者選抜制度の文献研究を行い、日本、アメリカ、韓国でともに共通テストの依存度が高まっていること、また韓国では日本同様に調査書を重視した選抜が広まっていること、などの理解が得られた。第二に、教育拡大という構造変動が選抜制度の変容をもたらすという本研究の成果を補強するために、高校入試においても教育拡大が制度変容をもたらしていることを明らかにした。この成果は近刊『子どもと教育の社会学』第二巻において発表される予定である。第三に、入試競争の一因を成すと目される就職格差に関する共同調査に参画し、性別・出身校と学生の意識との関連を検討し、日本教育社会学において発表するとともに、入試制度と就職格差との関連を分析した。 以上により、教育拡大を中心とする戦後の日本の構造変動が入試制度および選抜意識面で分極化傾向を示するとともに、それが日本のみの現象ではない可能性があることが明らかとなった。
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