研究概要 |
本研究は、戦間期日本の高等教育卒業者の就業・雇用形態の実態をできうる限り信頼のおけるデータを収集・発掘することで明らかにしていくことを目的としている。そのために、(1)高等教育機関の卒業生名簿を利用しての高等教育卒業者の職業キャリアの分析、および(2)企業内での高等教育卒業者のキャリアおよび彼らに対する処遇の分析、という教育機関と企業との2方面からのアプローチをとることにした。 今年度においては、まず,戦間期の高等教育卒業者の雇用・就業形態にかかわる先行研究を収集し、そこで用いられているデータや明らかにされた知見を批判的に検討する作業をおこなった。 さらに、先述の(2)の企業調査と比べ、比較的に資料の収集が容易である(1)の卒業生名簿による分析をまず先行して実施した。具体的には、卒業生名簿を収集し、数年おきにいくつかの時点の卒業生をサンプルとして選び出し,対象となった個々人についてその職歴を追跡した。その際にパーソナルコンピューターを利用して、資料をデータベース化している。そこで問題となるのは、卒業生名簿がどれだけ実態を反映しているかという資料の信頼性の問題であるが、その点に十分に留意しつつ、現在は入力したデータの分析をすすめつつある段階である。なお、(2)の企業データを利用した分析が可能であるかどうかについては、現在、調査中である。
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