1 現代フランス関係資料の収集、分析及び研究レビューについては、次の点を報告する。現代フランスにおける管理・運営の現状は、管理・運営機関の構成員(とりわけ、学外者)、権限等の面で、日本での文献研究以上に多様化が進展している。フランスの全国大学評価委員会(Comit e Nationald'Evaluation)で代表者の本研究計画についての研究レビューを受けた際も、同委員会のスタロポリ(Andre STAROPOLI)事務局長はこの点を認めている他、本年に収集した各大学の評価報告書でも確認できる。 2 20世紀初頭の資料の収集、分析については、次の点を報告する。20世紀初頭においては、大学の管理・運営については、「教授の独立」という、近代大学確立期に獲得された原則が引き続き維持されつつも、その個別性、つまり、個々の教授の独立に力点を置いた構成が強化されている。また、国家との関係においては、共和制国家の成立を背景とする、善なるものとしての国家、を前提とした機関としての大学の行政的独立(l'independance administrative des Uninersite)という中身が、個々の教授の知的独立(l'independance intellectuelle des universitaires)の集合体としての管理・運営権限の独立的行使というように変化している。現在、この点が当時の学生にどのような影響を与えていたのかについて分析中である。
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