本年度は、感化法施行期における家庭学校の経営関係文書および感化教育の様態を示す文書の収集のための作業にあたった。第一に、北海道家庭学校所蔵文書の調査にもとづき、1900年前後に記された書簡の整理とその概要目録作成に従事した。北海道家庭学校所蔵文書は、校内の本館屋根裏、留岡幸助古稀記念文庫図書館、家庭学校博物館等に収納されているが、それらの中で留岡幸助古稀記念文庫に保管されている留岡幸助関係書簡の整理に着手し、劣化の激しい書簡を一点ずつ中性紙封筒に収め1643点を目録に入力した。作業を進めるなかで、当初2000通程度と思われていた古稀記念文庫保管書簡は、3000通に及ぶ分量であることがわかってきている。さらに、本館屋根裏の書簡を入れると約8000通にいたることが予想され、今後もできる限りの時間を裂いて書簡の整理を進める必要があるが、残り一年間ですべての作業を終えることの困難が予想されている。北海道家庭学校所蔵文書のうち、庶務関係簿冊の収集は来年度の課題である。第二に、東京家庭学校所蔵の日誌類の渉猟については、東京家庭学校が他市の市史編纂室に貸し出した文書類が約束通り返却されなかったため予定の全ての文書のマイクロ化を進めることができなかった。一部のみを撮影し、貸し出しされていない文書のなかから関係史料が収納されている茶箱の整理と目録作成に従事した。ここには20世紀初頭の感化事業の様相を伝える洋雑誌・洋書も多く含まれており、これらの文書目録作成には作業協力者の力添えを頼った。しかし、研究対象とすべき理事関係書類の渉猟にはなお多くの時間を用いて史料の整理をしなくてはならない現状である。第三に、上記の史料整理と渉猟作業に併行して、すでに昨年度までの段階で渉猟した文書群は現在、解読中である。
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