本年度は、昨年度からの継続課題である、感化法施行期における家庭学校の経営関係文書および感化教育の様態を示す文書の収集をすすめると共に、渉猟した文書群の解読と分析に着手した。第一に、北海道家庭学校所蔵文書の調査にもとづき、1900年前後に記された書簡の整理とその概要目録作成に従事した。北海道家庭学校所蔵文書は、校内の本館屋根裏、留岡幸助古稀記念文庫図書館、家庭学校博物館等に収納されているが、それらの中で留岡幸助古稀記念文庫に保管されている留岡幸助関係書簡の整理に着手し、劣化の激しい書簡を一点ずつ中性紙封筒に収め、今年度新たに約1500点を目録に入力した。当初2000通程度と思われていた古稀記念文庫保管書簡は、結果的には3000通に及ぶ分量であることがわかったが、後一回の作業でおおよそ古希記念文庫保管書簡の概要目録が完成できる見通しとなった。しかし、約5000点の数が見込まれる本館屋根裏所蔵書簡は二年間の調査活動において目録を作成することができなかった。来年度以降の課題としたい。北海道家庭学校所蔵文書のうち、庶務関係簿冊については必要と考えられるものについておおよその収集ができた。第二に、東京家庭学校所蔵の日誌類の渉猟については、東京家庭学校が他市の市史編纂室に貸し出した文書類がようやく返却されマイクロフィルムより渉猟した。同時に東京家庭学校所蔵文書の関係史料が収納されている茶箱の整理と目録作成に従事した。これもすべてを終えるにはいたれず課題を残した。しかし、研究対象とすべき理事関係書類をほぼ渉猟することができ現在、解読と分析の途上にある。
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