1. (1)下前歯アダプターの試着試奏を継続した。アダプターの改良を行い、その使用により音色などに一定の効果が得られたので、その研究成果の発表として公開演奏会を行い、その効果を確認することができた。 (2) アダプターの前歯内側の部分の厚さの変更や、長期間に亘る装着試奏によるアダプターに破損が生じたことから、その補修を試みた。 (3) アダプターの使用のよって効果が期待できる被験者について、装着実験を行い、検討を加えた。 2. 「かみ合わせ」の程度がフルート演奏に与える影響を調査するために、以下の実験・調査を行った。また、その影響が予想以上に明確なことがわかった。 (1) フルートを演奏している人々の歯型をできるだけ収集するとともに、演奏と口腔に関するアンケートを実施した。 (2) 上記の歯型を調査し、分類を試みた。分類法には最も客観性があると思われるアングル分類(1級、2級、3級)を採用した。 (3) 各分類の噛み合わせに適すると考えられる3種類の実験用リップ・プレートを製作した。ほぼ同年齢で一定の演奏能力のある演奏者を選んで試奏実験を実施し(2回)、そのデータを分析したところ、以下のような結果となった。 (1) アングル2級者には「台座の後ろが低くなっているリップ・プレート」が吹きにくい (2) アングル1級者にも上記のリップ・プレートは吹きにくい傾向にある (4) 上記の結果をもとに、個人差に適合したフルートのリップ・プレートについて考えるとともに、その指導法について探った。
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