研究概要 |
1,「教育責任」という問題への「臨床教育学的」アプローチを課題とする本研究においては、まず第一に「臨床教育学」に関する知見の獲得が必要である。それは噴出する教育問題に一方的に反応し、皮相的もしくは一時的対処療法に陥らないためである。このような「方法論的」問題こそ本研究が必然的に要求される課題である。 2,研究の初年度にあたる本年度はとくに、ドイツ・オランダ・カナダはどの欧米諸国における「精神科学的教育学」「現象学的教育学」「解釈学的教育学」といった立場をとる研究者の論文などの蒐集と整理、それらの意義と問題点を検討した。これらの立場は歴史的および理論的に、「臨床教育学」の成立と密接な関わりを持つものである。従来指摘されてきたように、「臨床教育学的」方法にとっては、「現象学」、「解釈学」などが大きな意味を持つものであるが、「精神科学的教育学」に特徴的なように、「弁証法」の意義もまた見逃せないものである。 3,また、「教育責任」というテーマに関しても、ドイツにおいて、幾つかの研究論文が公にされていることから、それらの蒐集と検討を行った。 4,なお、本研究代表者は、方法論的問題に関する研究の成果の一部について、関西教育学会第49回大会(平成9年10月4日於大谷大学)において、研究発表を行った。
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