1.本年度に確認した事項の概要 (1)全米教職基準委員会(NBPTS;the National Board for Professional Teaching Standards)により、熟練教員のための上級資格基準設定が進んでいる。教員の資質向上をめざして行われる教職に関する基準設定の焦点は、1980年代には免許付与要件にあったが、90年代半ばを過ぎてNBPTSの全国資格に移った。 (2)基準の設定とその実施に関しては、各州ごとに様々な形態をとっている。NBPTSの基準を熟練教員の目標とし、それを視野に入れて養成機関認可・教員免許付与の基準を設定するところについては合意がなされているように見受けられる。免許・資格の基準設定をめぐっては、「実践能力」の基準化に関心が集まっている。 (3)全国資格取得にかかわるメリットは、参加した教員自身の報告によって裏付けられている。資格取得の過程が現職研修として大きな意味を持っており、自身の能力向上と共に職場の士気の向上にも役立っていることを多くの教員が指摘している。 (4)資格設定に関する批判的な情報を得ることはできなかった。資格の設定・取得がまだ緒についたばかりなので、議論にはまだ時間が必要だともいえる。 2.来年度課題に向けての留意点 (1)本年度は、前提となるこれまでの免許・資格制度の全体像把握を課題のひとつに据えていたが、充分ではなかった。来年度は、さらに新資格の動向を追う作業が多くなるが、この過程で逆に押さえられるようにしたい。 (2)上で見たように、免許・資格基準の設定をめぐる争点の発見を意識的に行う必要がある。
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