本研究の目的は、PTA活動をめぐる父母と教師の意識・態度をとらえ、父母のPTA活動への参加条件や父母と教師の協力・連携の条件等を明らかにするとともに、PTAや子どもの健全育成活動に対する地域住民の意識・態度に迫り、住民参加のPTA活動の条件を探ることにある。昨年度は、父母と教師を対象に質問紙調査を行い、その結果、PTAの役員層を除けば、父母・教師のPTA活動への参加・関心は全般的に低く、PTA活動をめぐって父母と教師が互いに不満を抱きがちであること等が明らかになった。本年度は、PTA活動への地域住民参加の実態を明らかにし、住民参加への可能性、PTAと地域住民組織との協力・連携のあり方等を探ることを目的として、福岡県と佐賀県において、小学校のPTA役員層および地域住民組織の役員層を中心にインタビュー調査を行った。その結果、(1)農村部においては、PTAへの財政支援を含めて、地域住民が様々な形でPTA活動に参加しており、そのことが子どもの健全育成のみならず、住民どうしの交流や生涯学習においても大きな役割を果たしていること、(2)都市部においては、PTA活動への住民参加はほとんど見られず、PTAの役員層も、住民参加の重要性をある程度認めながらも、実際には、低迷する父母の関心を高め、参加を促進することに集中せざるをえないこと、(3)農村部では、小学校区と地域住民組織の組織範囲に大きな差違がないためもあって、かなり緊密な協力・連携が図られていること、(4)都市部では、大規模校になるほどその校区内に抱える地域住民組織の数が多くなることもあって、PTAと地域住民組織が組織的に協力・連携体制をとることが困難であることなどが分かった。
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