本年度は、(1)重複障害児の視機能評価に関するこれまでの成果をまとめるとともに、(2)知的発達障害と視機能障害のある重複障害児に対する早期発見・早期対応に関して実際的に検討した。 前者については、種々の評価方法、すなわちランドルト環、絵視標、ドットアキュイティカード、TellerAcuity Cardにおける適用年齢範囲と障害のある子どもに応じた評価手続きおよびその選択基準について示した。また、上記の方法では評価の実施が困難な重複障害児に対する課題学習および行動評定・観察による評価方法について、その手続きとアセスメントツール、評価の基準、および視力推定の計算式について示した。 後者については、早期発見・早期対応に関する実践を試み、(1)スクリーニングの方法、(2)医療との連携、(3)問題の発見された子どもに対する機能的評価、(4)および評価に基づく日常指導場面での配慮について、検・討した。それらをもとに、障害幼児の視機能の問題に対する早期発見・早期対応に関する総合的なシステムについて提案をした。 視機能の問題に対する総合的な支援システムについては、その地域の地域や教育・療育機関をスタッフのよるところが大きいこと、地域資源や人的資源が整っていてもそれらを有機的につなぐネットワークと具体的協力関係および役割分担に関するシステムがなければ、実際の子どもの支援にはつながらないことが課題として挙げられ、総合的な「ビジョンケアーシステム」についての検討が必要であると考えられた。 上記の課題については、子どものライフサイクルという時間軸および地域という空間軸という視点から、地域ネットワークシステムのあり方を検討したいと考える。
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