1 資料調査 本年度は、秋田城跡調査事務所と国立歴史民俗博物館において行った. 秋田城跡発掘調査事務所においては、秋田城跡出土木簡のうち、削片および木簡本体の削り方についての調査を行った。木簡の廃棄方法を考える上で、すでに報告されていた事例のうち接合できそうなものが見つかり、接合関係を踏まえた上での復原を検討中である。来年度も同事務所での調査によって、復原案を検証したい。 国立歴史民俗博物館では、木簡本体の面の調整の方法などについて、いくつかの事例を調査し検討し、あわせて発掘調査報告書の精査を行った。この調査によって、木簡の二次利用などについて、貴重な事例を調査することができた。こうした調査事例をもとに、削片の削られ方を踏まえた復原研究を進めている。 2 資料調整および研究 秋田城跡出土木簡、下野国府跡出土木簡のうち、削片の事例をカード化し、トレース図面を用いた復原研究を行った。この方法による検討は現在も継続して作業中である。来年度は、こうした検討作業による復原案を踏まえた上で、秋田城跡と下野国府跡出土のそれぞれの削片群の調査を行い、可能な限り現物に近い形で、検証を行っていくことにしたい。検証を踏まえた研究成果の公表は、来年度以降の予定である。 また、各地の発掘調査において出土した木簡削片の事例を、日本古代木簡関係図書を購入するなどして調査し、パーソナルコンピューターを用いてデータベース化した。各地の発掘報告書のすべてを実見することはできなかったので、本年度は作業の途中である。この作業は来年度も継続して行い、全国的に事例を網羅できるよう整備したい。
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