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1997 年度 実績報告書

近世興福寺・春日社の組織と祭礼構造に関する研究-日本宗教の世俗化過程に関する比較宗教史的試みのために-

研究課題

研究課題/領域番号 09710247
研究機関天理大学

研究代表者

幡鎌 一弘  天理大学, おやさと研究所, 専任講師 (50271424)

キーワード興福寺 / 春日社 / 春日若宮祭礼 / 流鏑馬 / 宗教の世俗化 / 聖俗の分化 / 日本近世宗教史
研究概要

本年度は春日社・興福寺その他の文書所蔵機関等の調査を行い、具体的な作業として、得られた史料の中から、春日若宮祭礼の行事次第を翻刻中である。これは奈良奉行所役人によって記された長文のもので、従来知られていた内容よりはるかに詳細な祭礼運営が明らかになることは間違いない。さらに収集した資料を用い、流鏑馬を奉仕していた人々の動向を整理中である。流鏑馬の記録上の記述には大きな変化はないが、天正期には流鏑馬を直接奉仕している者だけでなく、それを差配する総奉行の社会的な位置が高くなり、かれらの中から江戸時代の流鏑馬奉仕者が出て、家として固定していることがわかってきた。この理解には祭礼の歴史だけでなく、中近世移行期における村落社会の動向把握が不可欠であるということにもなる。また祭礼の構造は社会変動期にあっても温存されているが、一方で実態は構造と分離し、祭礼は儀礼としてのみ残存していること。豊臣秀吉が若宮祭礼を自らの祭礼化したことは、定説となっているが、さらにそれを伝統の継承と変更の観点から、分節化して検討することができることがわかった。今後は、これらを具体的に分析論述する作業を行う。その他に「唐院日記」という近世興福寺の運営史料の存在が確認できた。これは、従来別の史料で存在が示されていたもので、教団内部で起こった諸事件の分析だけではなく、近世社会における「聖俗の分化」(宗教の世俗化 secularization of religionの定義の一つ)も、より細部まで検討することが可能になると思われる。この史料の複写と分析は来年度に作業する予定である。

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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