本年度の具体的実績は、調査補助員を使い地籍図によって都市空間構造の推定行ない、岐阜県高富町大桑城下町遺跡での発掘調査の下準備を行ない、惣構えや町屋などの都市遺構の存在を推定した。そして、他の発掘調査された前代の守護所と想定される遺跡やその他周辺の中世集落遺跡での資料を重点的に検討しながら、15世紀末から16世紀前半における在地村落構造の変化や守護所の移動とその歴史的背景を、遺物論、特に土器様式論と関連させて考察しようとした。 特に、戦国期城下町成立の歴史的契機については、後掲論文で論述した。 本年度は、発掘調査を実施する予定であったが、地籍図の遺存状況が極めて良く、分析が予想以上に伸び、来年度にも引続き継続する必要が生じてきた。また、類例の調査のため、青森県、京都府、大阪府、千葉県の国立歴史民俗博物館などにて資料調査を実施して、当初予定よりも多くの旅費に費やした。 来年度は、それらが終了して全体的な空間把握を終えてから、コンピュタ-処理を行なって後、部分的な発掘調査に入る必要がある。さらに、成果を報告するため国際学会発表も行ないたい。
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