研究概要 |
研究計画の第1年度である平成9年度には、以下のような研究実績があった。 1,日本列島における炊飯様式の地域性に関する基礎データを収集した。 (1)日本列島における大きな地域性は、おもに、その東と西、あるいは北と南、また太平洋側と日本海側といった対比でとらえることができる。この視点のもとに論述された文献を、研究対象の古墳時代のみならず弥生時代から近世に関するものまでを整理し、別記のような成果を得た。 (2)炊飯様式の地域性の背景を探るためには、それ以外の歴史的事象に現れた地域性を考慮すべきとの考えから、特に墳墓祭祀に関して分析した。その成果の一部に、日本海側の竃における丹後地方の特異性を、弥生時代後期から連続する畿内地方とのつながりによって解釈するという視点を得たことがあり、別記論文に反映させた。 2,移動式竃の分布状況に関して整理を行った。その成果の一部を、別記論文にも反映させた。 3,炊飯様式の変遷に関する研究のケーススタディとして、東京都多摩ニュータウン遺跡群、および千葉県永吉台遺跡群などを選定し、造り付け竃の形態の変化と移動式竃の動向について分析した。その具体的成果については、現存執筆中である。また、実地に資料調査を行い、移動式竃に関しては新しい分類の視点を得ることができた。これについては、資料の収集と調査を継続中である。 4,良好な状態で検出された造り付け竃の見学を行った。実際に発掘現場を訪れ、調査担当者と議論することを通して、地域的な特性の把握につとめた。
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