研究の一年目であることを考慮し、能楽関係の資料がどこにどれだけ所蔵されているのかを確かめることに重点を置いた。来年度は目録作成や、調査によって存在が確かめられた資料の精査が課題となる。以下今年度行った主な調査を箇条書きする。 ・元新城狂言愛好会会長で、地元で長く富永神社祭礼能を支えられた大原紋三郎氏へ聞き書き調査を行った。新城で行われた泉祐三郎の今様能狂言の様子や、戦前の新城能狂言界を支えた人々に関することを聞き書きした。 ・明治期の新城在住の脇方であった川村類三の子孫を尋ね、川村類三の稽古の日記、脇方伝書などを調査した。 ・高安流脇方で能楽協会名古屋支部員の飯富雅介氏より所蔵の『高安流仕舞附 天・地 人』の撮影を許可いただいたので、全貢影印し、翻刻した。 ・三重県名張市の宇流冨志称神社所蔵の能面を調査した。同社より能面の写真の提供を受けた。 ・豊川市文化広場に寄託されている愛知県豊川市の進雄神社の能人形面について、その面裏の記述や用途、特徴などについて調査した。 ・熊野本宮大社の能楽関係書簡を撮影し、翻刻した。 本年度東海地域で行われた能楽番組のうち収集することのできた百五十枚余りを整理し、アルバイト学生を用いてデータ入力した。入力したデータは東海地域能楽データベースに加えた。
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