昨年度収集した番組のデータ化、収集した資料の整理・翻刻を行った。能番組・伝書類ともに予想を上回る点数を収集できたため、まだ整理・翻刻ともに全部はできあがっていない状態である。この分については次年度の継続課題としたい。 ・大原紋三郎氏より新城の戦前の能楽界について伺う。また、同氏より戦後から平成にいたるまでの富永神社祭礼能の能番組を頂いたので、データベースに加えるため入力を行った。 ・明治時代から戦前まで新城市在住で名古屋能楽会にも度々出勤した高安流脇方の川村類造師の遺族より類造の使用した脇仕舞附・謡本等の提供を受ける。これを翻刻し、「名古屋芸能文化 第8号」に発表した。 ・藤田六郎兵衛師所蔵の初代藤田清兵衛関係資料を整理・翻刻し、「椙山国文学 第23号」に発表した。 ・佐藤友彦師より和泉流山脇家伝来の間狂言本(9冊組)の閲覧・翻刻を許可いただいたので、翻刻を行っている。次年度以降、紀要等に発表する予定である。 ・能楽師の旅を考える上では、東海道の各宿場における能楽師や能楽愛好者の存在を考える事が重要である。静岡県内の能楽資料を探すため、吉田高校長中村羊一郎氏、富士市立博物館学芸員荻野裕子氏の御教示を頂き、静岡県内の近世の人名録・地誌等を調査した。この結果、享保年間の「東海道人物志」に相当数の能楽師が記載されていることがわかった。次年度以降、これを論文化したいと考えている。
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