<本年度の研究実績> 1.New York Public LibraryとUniversity of CaliforniaのBancroft Library内にあるMark Twain Papersにて所蔵原稿の調査をおこなった。その結果、トウェインが最初から小説のスタイルで書き出したと思われていた作品が、実は完全な形をとるところまでは行かなくとも戯曲に近いスタイルでまず覚え書き程度に書き付けられ、そこから小説へと発展していくプロセスがあることがわかった。 2.パフォーマンスと文学教育という観点から専門家のレビューを受けた。それによりトウェインが、自分の作品を脚色して上演する子供たちのパフォーマンスに大変な関心をもち、小説を戯曲化して演じることの教育的効果を認めていたことがわかった。この事実は今までの日本におけるトウェイン研究では知られていないが、トウェインの作品をパフォーマンスの立場から見直していく当該研究に貴重な資料となった。 <来年度に向けて> パフォーマンスという観点からのトウェイン研究は、日本において未踏の研究領域であるため、本年度は専門家のレビューを受けることで今後の研究方針を固めていくことと、トウェイン自筆の未発表原稿、手紙、メモなどの資料収集をすることが中心課題となった。来年度は上述した二つの研究業績のテーマをさらに発展させて、研究の成果を公表することに重点を置いていく計画である。
|