ディジタル言語学資料の再生利用に関する研究(1年目) 1 今年度、ディジタルデータ(言語学資料)の保全の方法論確立のための実験を実施した。言語学資料を国立国語研究所に求め、同機関で、記録、保持されている電子化された言語学データをいくつか事例として実験を実施した。目的は過去の蓄積データを、レガシ-(遺産)プラットホームから、現在のプラットホームに転送し、保存するとともに、維持と保全を行うシステムを開発することである。 2 発掘と保全 PCには一般的であるRS232C(シリアルポート)を利用したデータ転送実験をPC98マシンとWindows95マシンの間で実施した。MS-DOS上とWindows95上で動作する転送ソフトウェアを利用した。この実施法が、他組織での利用を考慮しフリーソフトを用いた。実験の結果、データの転送を確認し、8インチフロッピィディスクに保存のデータをWindows95マシンへ転送できることを確認した。 3 維持と管理 PCベースのレガシ-プラットホームをはじめ、Macintosh、Windows95等の利用形態はパーソナルユ-スが前提である。個々の利用者は手軽にPCを使えるが、反面、データの記録、保持、維持管理が利用者に任されることになる。従って、データの維持品質が不安定になる。(1)個人によってデータバックアップの意識(必要性や頻度等)が異る、(2)ファイルの保護機能が貧弱で外部からの破壊に弱い、(3)データの記録が容易なため、各個人が意識して慎重に記録計画を立てないとデータが散逸してしまう、等の問題が指摘される。 こうした問題に対し、集中管理システムであるUNIX機との結合を試みた。UNIX機にSMBプロトコル(WINDOWSのファイルサービスプロトコル)を解釈するSAMBAサーバーをインストールし、その結果Windows95マシンからのファイルのマウント、ならびにファイル記録時にユーザー認証が可能であることを検証した。さらに、Windows95マシンをユーザー認証によって利用させることに成功し、ユーザーごとの利用環境(PROFILEデータ)をUNIX機上で一元管理することに成功した。使い良いPCを利用したデータの集中管理システムを構築するための基礎的な実験が完了した。
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