研究概要 |
1.日本語学、国語学の先行研究調査:日本語のアスペクトの研究に関しては、金田一春彦氏の研究が、Vendlerなどの動詞のアスペクト分類とほぼ一致することを確認した。また、その後奥田靖雄氏、工藤真由美氏、鈴木重幸氏などが体系的な研究を行っており、英語との比較の基盤になり得ることを確認した。また、これら以前に日本語のアスペクトを体系的に研究したものは特に見あたらなかった。また、名詞句の性質とアスペクトを関連づける研究も日本語では見いだせなかった。 2.認知言語学研究関連の先行研究調査:認知言語学的な観点からのテンス・アスペクト、動作主・非動作主の非対称性、非対格性などの先行研究に関する調査を行った。 3.英語・日本語のコーパスを通したデータ収集:英語に関してはProject Gutenberg CD-ROM,及び電子ブックのソフトであるBarron's Complete Book Notes,Library of the Future(vol.5)などからuntilを含む文を検索し、その中から該当するデータを選び出すという形を取った。その結果、予測通り他動詞の主語でも複数形の名詞が文全体を継続的な意味にしている例が見いだされた。また、先行研究の指摘とことなり、複数名詞であればtheやsomeなどがついていても、継続的な読みにすることができるということも発見した。日本語に関しては、朝日新聞のデータなどを分析中である。 4.聞き取り調査:日本語に関するデータが英語に比べて入手しにくいことから、日本語の聞き取り調査を行う前提となるデータ収集も終わっておらず、聞き取り調査を行うまでには至らなかった。
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