アメリカ合衆国の母娘関係、および母性に関する言説についての従来の研究をまとめ、基本文献表を作成した。その際、白人中産階級を念頭においたものと、黒人、アジア系などさまざまなマイノリティに属するものという区別をつけた。その結果、「母娘関係」についての文献は圧倒的に白人中産階級の家庭をモデルとして論じられているものが多いこと、またマイノリティの母娘関係に関する文献も、何らかの形で白人モデルの影響を受けていることが分かった。 また参考文献表作成と同時に、アメリカ合衆国の母娘関係に関する論文の構想にとりかかり、英文で10枚程度の概要を作成し、ス-ザン・グーバーインディアナ大学教授等数名のアメリカ合衆国の専門家にレビューを受けた(概要は未発表)。 同時に、近代以降の母性および母娘関係に関する先行研究の調査および文献表の作成にとりかかった。特に吉屋信子や氷室冴子ら、一般に大衆作家と見られている女性作家における母娘イメージの重要さは、今後さらに追求されるべきテーマであるとの確信を得たことは大きな成果であった。この内容を中心に、本研究の中間発表的な位置づけとして、国際比較学会(8月、オランダ、ライデン大学にて開催)で"Girls'Subculture and the Literary Tradition in Japan"という発表を行った。また12月13日、日本児童文学学会12月例会にて、「『少女小説』と日本の伝統」というタイトルで発表を行った。
|