わが国市場における企業集団・系列内取引規制について、経済学的研究・比較法的研究を中心に行った。 1)経済学的研究:系列内取引のもたらす経済的効果について、日米両国の文献調査を行った。特に、継続的取引のメカニズム(「評判効果」「人質理論」「告発のメカニズム」等)に関する文献調査を行った。また、系列内取引の競争促進効果を論ずる際の「取引費用分析」については、アメリカの法律学及び経済学の文献を精力的に調査した。さらに、法と経済学に詳しい法律学者・経済学者との意見交換を行った。 2)比較法的研究:近時の持株会社解禁に伴う競争制限規定の要否についての示唆を得るために、アメリカ・ECを中心としてコングロマリット内取引規制に関する文献調査を行った。コングロマリット内取引についての、株式制限規定の有無取引についての情報開示規制等である。ドイツ法に関しては、系列内取引に関する情報開示規制に関連して、コンツェルン法についての調査を行った。さらに、金融持株会社に関する規制の概要について、アメリカ法を中心として、調査を行った。 3)実証的研究:わが国取引の基本的特徴の一つとして指摘される継続性についての既存の調査報告に関する文献を調査した。また、生産系列(下請)に関する調査についての報告に関しても、資料収集を行った。次年度にヒアリング調査を行う予定である。 以上の1)、2)、3)の研究の結果、得られた、企業集団。系列内鶏非違規制についての問題点及び今後の研究の方向性について、その成果を論文として公表する予定である。
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