最終研究年度にあたる今年度は、前年度における基礎的な検討を踏まえ、それが、わが国の少年司法制度を考察するうえで、いかなる意義を持ちうるかという観点から研究を行った。 折しも、今年度に入って、予想以上に早く、少年法の改正に向けた動きが現実化し、法制審議会の少年法部会において、そのための審議が行われることになった。筆者は、その審議に参加する機会を得たこともあり、研究の内容は、大陸型の少年司法制度の研究ということを超えて、現実に動きつつあるわが国の少年法改正問題に重点を置いたものとならざるをえなかった。この間に公表した論考が、現行法の解釈や、立法問題を直接に対象としたものであるのはそのためである。 それ自体は意味のあることであったと思うが、反面で、研究の当初の目的であった大陸型の少年司法制度の包括的な検討という面からは、研究がやや不十分なままに終わったという感も否めない。この点は、今後の課題として、継続的に検討を続けていきたいと考えている。 なお、当初の予定では、今年度、ドイツを訪問して、関係者のインタビューを行う計画であったが、その方が、昨年夏に訪日されたため、渡独することなく、初期の目的を達することができた。その際、ドイツにおける少年犯罪の現状、それへの対策の動きなど、貴重な情報を得ることができ有益であった。
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