一年目に相当する97年度には、基礎資料収集・解析と基礎データ入力・解析を中心として研究を進めた。外国研究については、米国に関して各種基礎データと基礎文献の収集に務めた。日本と異なり、市町村及び郡に関する基本データが少なく、本格的な分析をするには至ってなく、次年度への課題となっている。日本の交付税制度に関しては、現時点での基礎データの収集に務めた。制度改正の詳細についても資料を入手したが、その解読は次年度への課題となっている。入力データのなかには有効ではなかったと思われるものもあり、俗説を検証するのにも予想以上の苦戦を強いられている。次年度には、都道府県別に交付税配分状況を通時的に比較研究する予定である。合わせて、経済統計・計算概況・公共施設の設備水準など各種政治経済データ等との相関関係を検討する。交付税の多寡が自治体に与える影響に関する個別研究に関しては、指定都市を中心に行った。これまでの結果によれば、交付団体の方が不交付団体より活発に単独事業・新規事業に取り組む傾向がみられる。この点は、これまでの交付税制度からは説明のできない現象であり、今年度の一番大きな発見となっている。次年度は、他の市町村及び都道府県にまで射程を広げてこの点を検討する予定である。
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