本年度は、史料の収集に重点をおいて、本研究を進めた。第一に、各文書所蔵機関の史料を閲覧・収集した。信州大学経済学部、法政大学大原社会問題研究所、国立国会図書館憲政資料室、日本労働研究機構、日本生活協同組合連合会、総評会館資料室、大阪社会運動協会、東京大学各部局図書館などにおいて、多数の史料を収集することができた。第二に、関係者にインタビューを行い、資料を収集した。故清水慎三、竹内猛、広沢賢一、三戸信人の各氏を対象としたが、さらに来年度は範囲を広げる予定である。第三に、活字化された史料および研究文献の収集にも努めた。全体として、基礎的な史料については、ほぼ収集することができたと思われる。 それに比べて、収集した史料の分析は不十分であり、成果の公刊には至らず、来年度の課題として残った。しかし、それでも、基本的な骨組みの構築に関しては展望を見出すことができた。特に、朝鮮戦争の休戦という情勢の下、自由党、民主党(改進党)、右派社会党、左派社会党、経済団体、労働組合、官僚といった諸政治アクターの関係が様々に展開していく過程で、55年体制が形成されたという着想が資料的に裏付けられるという見通しを得ることができたことは、大きな成果であり、私的な勉強会ではあるが報告を行った。 さらに、上記の史料収集作業は、占領期の日本政治に関する筆者の研究成果の公刊(予定)にあたっても活用することができた。占領期の分析は本研究の前提をなすものであり、広い意味で本研究の成果ということができる。
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