明清代の行政法典である『万暦大明会典』、『康煕大清会典』及び『乾隆大清会典』の三つの会典につき、その「戸部一州県」、「兵部一都司」に記載されている省、府、県、州、土司名をデータ・ベース化する目的で、パーソナル・コンピュータに入力した。今後のデータ処理の仕方に不確定の要素があるため、作業自体はまだ完了していないが、ほぼ基本的な作業を終えた。明清間では、一級行政区である省のレヴェルでは大きな変化がなかったが、府・直隷州のレヴェルでは、雍正時代に大規模な変化があり乾隆二○年代に基本的な制度が確定されたことが改めて確認された。現在、『光緒大清会典』、『清志稿・地理志』について入力作業を進めつつあるが、確かに、地方行政機構の数と構成に関する限り、乾隆以降、光緒年間にかけては目立った変化は認められない。山東省、河南省、雲南省、貴州省などで、若干の変化があるだけである。 本年度の研究において、明末から清末にいたる地方行政機構の数と構成に関する限り、基本的な引証資料は、ほぼ用意されたということができる。次年度は、早急にデータ・ベース化の作業を完成させ全国的な傾向をより明示化するとともに、直隷省とその周辺の緒省については、より精緻な分析を行いたいと考えている。その際、直隷省の省会(省都)の移動の影響などについても考慮に入れていきたいと考えている。また、衝繁疲難制による行政管理度難易度評価の変化についても、併せて引証材料とするつもりである。
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