• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1997 年度 実績報告書

マキアヴェリ国家論の研究(歴史的公共体の理念と制度)

研究課題

研究課題/領域番号 09720068
研究機関早稲田大学

研究代表者

厚見 恵一郎  早稲田大学, 社会科学部, 講師 (00257239)

キーワードマキアヴェリ / 共和主義 / 政治思想史 / 国家理論
研究概要

本研究は、マキアヴェリの国家観を、その政体論に焦点をしぼりつつ歴史的に検討するものである。かれの政治理念を歴史的公共体の政治思想として提示し、「近代政治思想の開幕者」「公民的共和主義の伝統の継承者」「国民国家形成期の絶対主権論を生み出した国家理性論者」といったマキアヴェリのさまざまな相貌間の緊張を調停するための一助としていきたいと考えている。
本年度は、『ディスコルシ』の読解をつうじて、マキアヴェリの国家論のなかでの政体論と共和主義との関係を考察した。キケロらに代表される伝統的共和主義とマキアヴェリの国家論との異同が、共同性を実現する栄誉を自由と考える自由観や、共同性の維持と不可分に結合した個々の徳目間にも見いだされることを確認することができ、それをマキアヴェリ共和主義を扱った別記論文として公表した。いかなる都市も自由なくして栄誉を獲得することはできないという主張、そして共和的政治体制の維持なくして自由な政治生活を維持することはできないという主張。これらがマキアヴェリ的共和主義が伝統的共和主義から継承した政治的自由観念の本質であった。たしかに、法にしたがって形成された体制=政治体制body politicを指すのにres publica,repubblicaの語を用いていた人文主義者たちの用語法と、ときとしてstatoをも用いるマキアヴェリの用語法とは異なる。しかし共通善と共和体制を不可分と考える点はマキアヴェリも伝統的共和主義者の人文主義者たちも同じであって、共和主義的な選挙体制下でのみ公民的偉大さが発達しうるとマキアヴェリは考えていた。換言すれば、マキアヴェリにとっても、政治や国家は「差異の」自由を擁護するためではなく、公共体に「共通する」自由を擁護するためにあるのである。マキアヴェリの歴史的公共体の国家論には、こうした共和主義の要素が含まれている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 厚見 恵一郎: "マキアヴェリ共和主義の再検討(上)" 早稲田社会科学研究. 55号. 37-73 (1997)

URL: 

公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi