70年代以降の英国政党制の変遷を追う中で、今期は二つの方向で成果を結実させつつある。一つは、保守党と労働党という二大政党の間で基本政策にほぼ一致が見られているという指摘の検討である。これは英国政治史においては、戦後コンセンサスと呼ばれているが、この戦後コンセンサスのあり方を、とりわけ政治意識の点から考察しようとしている。この作業に関しては、「英国政治における戦後コンセンサスと政治意識」『立命館法学』(1996年第6号)として、現在もなお連載中である。 もう一つの方向は、そうした戦後英国の政党制の検討の延長線上において、現在政権を担当しているブレア労働党政権をいかに評価するかということである。これに関しては、「1997年英国総選挙に関する一考察」『立命館法学』(1997年第3号)としてまとめた。ブレア政権も、それ以前の保守党サッチャー政権やメ-ジャー政権の基本政策を踏襲している点で、戦後コンセンサスの枠内にあるといえるが、NHS改革や地方分権などの点では独自性を出しつつあるというのが、拙論の基本的評価である。
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