本研究は、業績悪化企業に対する再建処理及び救済介入に関する分析である。主に企業・銀行間の結び付き、並びに融資内容の変化に着目して若干の実証分析を行った。本分析で用いたサンプルは上場廃止企業58社であり、それらの財務データによるプール回帰分析の結果から見出された特徴は次の通りである。 マークアップの悪化と借入残高の増加との間には顕著な比例関係がある。同時に、未処理損失の増加にむしろ融資を圧縮し、かつ平均金利水準を高める傾向が見られる。また、レバレッジと借入残高との関係から見て、資金提供者はその関与が深まれば深まるほど、収益性とは独立して追加融資に対して寛容になる傾向が見られる。 更に、業績悪化企業に対するメインバンクの働きに関して、次の二つの特徴が見出される。一つは、企業における負債の再組織化による金利負担の緩和である。メインバンクは業況不振に瀕した企業に対して、長期借入残高い比重を置いた負債圧縮を強く促す。二つめは、業績悪化企業に対する長期満期に比重を置いた資金供給である。メインバンクは短期的な企業存続危機の回避において十分有効な手段を講じているといえる。
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