国際社会の決定手続きは、実現可能な選択肢に関する各国の選好や態度を表明させ、それらを集約するもの、と一般的には捉えることができる。本研究は、私的財を用いて公共財を生産するケースにおいて、次のi)とii)を行った。i)戦略的行動を抑止しかつ他の望ましい条件を満たす決定手続きを考案する。ii)得られた決定手続き、またはそれを含むあるクラスの手続きしか望ましい諸条件を満たせないことを数理的に証明する。具体的には、以下の結果を得た。 戦略的行動を抑止しさらにsymmetryという平等性の条件と予算均衡という効率性の条件を満たす決定手続きでは、各国の選好プロファイルのいかんにかかわらず、全ての国が同等に公共財の費用を負担し、minimax ruleにより公共財生産量が決められなければならないことを証明した。さらにanonymityやindividual rationalityといったsymmetryより、若干強い平等性の条件が課された場合には、次のような強い結果を証明できた。I)公共財の費用関数の形状にかかわらず、公共財の(同等)費用負担スケジュールが凸型になるように公共財の生産範囲が制約されなければならない。II)anonymityが課されたときには、q-ruleによって公共財の生産量が決定される。また、individual rationalityが課されたときには、minimum demand ruleによって公共財の生産量が決定される。
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