研究概要 |
本プロジェクト「世代別消費行動の実証分析」は,以下の3つの目標を持っている。世代間の所得分配を正確に計測する尺度を構築する。この尺度は経済成長の影響をコントロールし,純粋に世代間分配の部分を抽出するように工夫されている。(2)こうして構築された尺度を非常に入手が容易な年齢階層別消費データに適用する。(3)世代間所得分配の国際比較を行う。 この2年間プロジェクトで,(1)と(2)については作業をほぼ終えている。(3)については,日本,米国,英国の3国の比較を試みている。これらの結果については,『日本経済研究』36号(近刊)およびThe Economics of Aging(forthcoming)に報告されている。特に興味深い実証結果としては,日本と米国の所得分配では,より大きいシェアが現存の高齢者世代に分配され,若い世代にはより少ないシェアしか分配されていないことを,非常に計量的に厳密に確認したことである。また,いずれの国も,若年層では流動性制約に直面しており,異時点間の消費配分が阻害されている。次年度の計画としては,国際比較の範囲を拡大することと,より理論的に精緻な世代間所得分配の尺度を構築することである。 この1年間で,上述以外の出版以外にも,本研究に関連した理論研究がJournal of Dynamic Economics and Control(forthcoming)に,実証研究がJournal of Monetary Economics(forthcoming)とThe Review of Income and Wealth(forthcoming)への出版が採択された。
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