本研究は、各国における体制(Institution)の違いを反映させることができる進化経済学の基本的的モデルに基づき、各国の科学技術政策の経済的効果を計測するモデルを構築するとともに、OECDデータや特許データ等の国際比較可能なデータを用いて実証的な比較分析を行うことを目的とする。また、その分析結果を基に、各国の実情にあった政策オプションを提案することを試みる。 進化経済学においては、学習(Learning)や自己組織化が重要な役割を果たす。この観点から科学技術政策を見ると、技術の普及策をいかに行うかが重要である。 このような考え方に基づく分析の前提として、各国における技術構造の特徴の分析を行った。特許データに基づく分析により、日米欧において技術成長力が異なる技術への特化が見られ、技術構造に明らかな違いがあることが分かった。更にこの構造の違いは自己組織的に拡大しつつある。 今後は、この技術構造の原因を体制の違いに基づいて明らかにするとともに、それに基づき、各国の実情にあった科学技術政策の政策オプションを提案していく。
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