本年度は、課長以上の記載があり、1969年時点から今日まで上場廃止あるいは職員録の掲載停止あるいは大幅な基準の変更がなく、さらに業種的に近いと思われる、三菱電機、東京電気、日本電気、三菱重工業、日野自動車工業、トヨタ車体、日産車体、関東自動車工業、カヤバ工業、アツギユニシア(厚木自動車部品)の10社のデータを1969-1989年の31年間に渡って整備した。その間のランクは197種類にも及び、その意味的な統廃合が今後の重要な課題である。例えば、課長直前のランクとして、副課長、課長補佐、課長代理、課長見習い、課長付き等々がある。これは企業間でも異なるし、また、特定の企業においても時間とともに人事制度の変更を反映して、呼称が異なってくる。 ともかくもそうした意味的な対応関係を付けない段階でのランク(これを狭義の定義と呼ぶ)の平均的滞在期間は2.43年、勤務地の変動(水平的異動)との相関係数は0.13であることが明らかになった。また、企業間の変化も比較的大きく、平均的滞在期間における最大の企業では4.16年、最小の企業で1.69年、勤務地の変動(水平的異動)との相関係数は最大の企業で0.42、最小の企業0.08であった。ただし、企業間の比較は企業規模、事業所数の違いを考慮に入れなければならないので、単純な比較は危険である。 来年度の課題として、1990年代のデータ整備、広義のランクの設定、その上での昇進過程の計量経済学的な分析、特に景気や企業成長との関係を明らかにする分析を行う予定である。
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