明治期生糸直輸出運動の全国的指導者・星野長太郎は、その郷里(群馬県勢多郡黒保根村水沼)に万余に及ぶ関連文書を残している。現在後裔の杉崎静代氏が管理されるこの史料・「星野長太郎文書」は、その重要性にもかかわらず、今以て多くが未整理状態に置かれている。しかしながら過去数年来の筆者の研究によれば、これら史料は生糸直輸出運動の実態解明上、全国無比の史料的価値を有するものと認められる。そこで筆者は、現在科学研究費補助金の交付を仰ぎつつ、当文書中の未整理史料の整理・複写の作業に鋭意努力している。平成9年度に於けるその実績の概要を示すならば、あらまし以下のようになるであろう。 (1)最初に未整理史料の状況を把握。土蔵内故、全点数を正確に知ることは不可能なるも、ダンポール箱30箱以上、約1万点の未整理史料を確認。 (2)次に未整理史料の虫干し、文書用ダンポールへの収納、防虫剤の投与等、保存的措置を実施。 (3)次に未整理史料の整理作業に従事。目録作成に必要な情報を確認の上、保存用封筒に明記して収納。作業継続中。 (4)年度後半から整理済み史料の複写作業も本格化、なお作業継続中。 (5)上記の作業に加えて、国立国会図書館、横浜開港資料館等、文献所蔵機関にて関連資料の採訪に従事。 以上
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