1. 国際的な取引を考えたときの、仕入高控除法と税額控除法の付加価値税の等価性に付いて触れている論文の批判的検討を行った。両者共に消費型の付加価値税ではあるが、投資財についてもいったんは課税され、課税企業の納税段階で税額が控除される。この点をモデルに反映しないと、消費財と投資財の相対価格について誤った理解に導くことが分かった。 2. 仕入高控除法から税額控除法への変更に伴い、インボイスの発行義務という移行期固有の問題が発生し、納税協力費や徴税費が増大することが予想される。これらを抑える方法として、従来考えられてきた方策に加えて、付加価値税の納税や徴税に関する電子化の活用という方法があることが分かった。所得税や法人税の納税・徴税作業と連動させることによって広義の徴税費用を抑える可能性がある。3. インターネット上で付加価値税について調べた。膨大な数の関連サイトがあるが、多くはビジネス関連のものであり、学術的なものは多くはなかった。研究途中で授業用としても作成した「付加価値税ノート」 (http://pf.econ.kobe-u.ac.jp/zaisei/gst.html)に逆に多数のアクセスがあり、付加価値税をはじめ、色な税についての学術的な内容のページの充実が必要だと実感した。これは今後の課題ともなる。 4. 財政データベースをインターネット上のホームページ(http://pf.econ.kobe-u.ac.jp/kaken/data.html:学術情報センター公開データベース番号A003065)で公開しており、データの更新を行なった。
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